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太陽光パネル設置見学会  2014/5/12 mon

皆さまからのご支援を受けて太陽光パネルを設置することができました。
 
設置工事に合せて見学説明会を開催し、施工会社の㈲エコテック 林さんから
太陽電池の基本的なお話から最新の状況についてもお話いただきました。

<基礎内容編>

 

◎はじめに/多目的カフェかぜのね 協同代表:春山から

 

◎施行を担当いただいた有限会社エコテックさんについて

 

◎太陽電池の基礎的なおはなし

 

 ・太陽電池の種類と素材について

 

 ・太陽電池の寿命と保証期間について

 

 ・実は熱に弱い?太陽電池の意外な特徴

 

 ・発電量の見込みと、その算出方法

 

 ・売電の仕組み(余剰電力の場合)

 

 ・電気を電線に送れなくなる?「電力抑制」という問題 

 

 ・設置に関わる補助金と費用について

はじめに

かぜのね協同代表・春山

 

このプロジェクトで象徴的なのは、今日の太陽光パネルをあげるってことなんですけど、

これを機にエネルギーのことをもうちょっと考えて行きたいと思っています。

 

わたし自身、ワークショップに参加して太陽光パネルをつくって、いま家に置いてるんですけど、

自分で置いてみると「電気ってこんなにすぐなくなっちゃうんだ」って感覚も変わってくるので、

かぜのねで太陽光パネルをやっても、また感覚が変わるかなと、まず自分たちで電気をつくってみようと思いました。

 

同時に、原発とか大きい発電所で電気をつくって、それを一方的に使う構造じゃない方法で

もっと気持ちよく電気を"使って"いく方法も皆さんと一緒に考えて行きたいと思います。

ただ、いまは答えはなくて「電力の自由化ってなんだろう?」とか、海外の事例を調べたりとか、

これからいろいろと勉強しながら模索していきたいと思ってます。

 

使い方もこのままの使い方では持続可能じゃないっていうのは、色んな研究で言われているので、

エネルギーを使わなくても愉しく豊かに暮らしていける方法とかも考えていけたらと思っています。

 

色々思っていることはあるんですけど、そのきっかけしてパネルを上げています。

そのパネルについても勉強中なのですが、今日は林さんから具体的なことをお聞きしたいと思っています。

(左)有限会社エコテック代表:林さん/(右)多目的カフェかぜのね協同代表:春山

施行を担当いただいた 有限会社エコテックさんについて

 

今日、工事に伺わせていただいていますエコテックというところの林と申します。

 

太陽電池の話の前に、自己紹介として、

わたしたちの会社エコテックについてお話をさせてください。

 

わたしたちは、株式会社なんですが、ふつうの会社ではないんですね。

市民事業、ワーカーズコープともいいますが、そういう形態で20年くらい運営しています。

この形態がどんなものかというと、皆で出資をして運営をしている会社ということです。

正式には『労働者生産協同組合』といいまして、

ヨーロッパの、イタリアとか、スペインのバスク地方で特に盛んです。

 

今、わたしが代表なんですが、役員は選挙で選んでいます。

社員は全員出資をしてまして、すべての決めごとは合議で行います。

なので、全員が全員の給料も知ってますし、利益をどう配分するのかとか、手当とか、

すべて全員で決めていく、そういう極めて変わった会社です。

 

ただ、代表は、あの、町内会の役員と一緒で責任ばっかり重くて(笑)

たとえば、借り入れとか、そういうのも全部、代表者が連帯保証人の個人印を全部押さなきゃだったり。

でも、給料は民主的に決まるので、他の社員とあまり変わらなくて。。。

 

で、わたしたちが主に仕事させてもらっているのが、市民協同発電所の施行で、

ここ(かぜのね)もその一つになるかもしれませんが、

皆で希望して、出資もしたりして作る発電所ですね。

そういう発電所が全国に約480箇所(2013年9月時点)あるんですけども、

そのうち、わたしたちで60件以上を担当させていただいています。

太陽光電池の基礎的なおはなし

 

太陽電池の種類と素材について

 

今日は太陽電池のお話ということで、改めて簡単に基本的なことを説明します

 

 

たとえば、太陽が照ったら、地面が熱くなりますよね。

それは太陽のエネルギーが「熱」に変わっているわけです。

エネルギーというのは無くなることはないので、何かに変わっていくわけですが、

この太陽のエネルギーが電気に変わるという仕組みを利用したものが太陽電池です。

 

1954年くらいに、アメリカのベル研究所のピアソンという人が

半導体の中で電子が動いて、

その電子がプラスとマイナスに分かれる現象を発見して作られたのが太陽電池の第1号です。

だから、まだ発見から60年くらいの新しい技術です。

 

半導体はほとんどがシリコンという石で出来ています。

このシリコンをつかった太陽電池は、

メーカーでいうと、シャープや三菱や京セラ、パナソニックなどが有名です。

ただ、今回、かぜのねに設置するのはそれとは違う種類の太陽電池で、

CIGS系(化合物系)の太陽電池と言います。

素材は、銅・インジウム・ガリウム・セレンを元素を含む、いわゆるレアメタルと言われるものです。

セレンというのは、特定有害物質に指定されているんですが、含まれるのは非常に微量です。

 

CIGS系は薄いのが特徴で、シリコン系の厚みがだいたい厚みが0.3〜0.4ミリくらいなのに対して、

およそ100分の1の薄さで0.2〜0.3ミクロンくらいです。

逆に薄過ぎて、設置する時にはアルミの枠と強化ガラスで挟みますので、

設置する際にはシリコン系のものと厚さは変わらないんですが(笑)

 

 

 

 

太陽電池の寿命と保証期間について

 

それから、太陽電池の寿命はだいたい20年と言われています。メーカーの保証もそれくらいです。

でも、わたしたちの実経験では、40年くらい持つと考えています。

というのも、20年くらい前に九州のNPOが熊本大学の先生から譲り受けた太陽電池の設置をしたのですが、

その太陽電池は、その設置の時点で、製造から17年くらい経っていたものなんですね。

で、それがまだ現役で稼働しているんです。

 

他にも、わたしたちが工事をした設備で20年くらい経ってるものも沢山ありますので、

まあ、寿命、性能を保持できる期間は20年くらいと言われてますが、

実際それ以上経っても全然劣化していないものもありますので、

約30年から40年くらいもちそうだと言われています。

 

 

 

ちなみに、日本ではじめに20年保証をしたのは、

今回かぜのねに設置をするソーラーフロンティアというメーカーです。

ソーラーフロンティアは、母体は昭和シェルという石油を売っている世界的な企業です。

彼らはもう、これから石油で生きていこうとは思ってないんですね。

もっと進んでいて、再生可能エネルギーに転換していくと石油会社の彼ら自身がシミュレートしているんです

ああいう大きい会社というのは、我々の先へ先へいってしまうので、もう20年前から太陽電池をつくっている。

 

設置する設備には、それぞれ保証がついています。

たとえばパワーコンディショナーには10年、太陽光パネルは20年の出力保証です。

でも、その保証をつけるためには、メーカーが色んな規定をしてまして、

こういう工法、こういう取り付け方をしないと保証しないよという決まりがあります。

私たちはもう20年くらいやっているので、メーカーによっては少し融通が効いて、

あたらしい代理店なんかだと付けられないところに付けることが出来たりもします。

 

とはいえ、基本的にはどこのメーカーも施工方法から屋根材からものすごい厳密に決められています。

だから、たとえば、われわれの会社(エコテック)は、いつか無くなるかもしれないですが(笑)

でも、そんなときでも、太陽電池は全部メーカーに登録してますので、

我々がいなくなっても、メーカーが保証してくれます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実は熱に弱い?太陽電池の意外な特徴

 

シリコン系と比べたときのこのCIGS系の太陽電池の特徴は、さきほどの「薄い」ということの他に、

発電効率がいいということが言われています。

なぜいいのかというと、実際に太陽光に当てて稼働を始めると出力が上がるんです。

太陽光に1ヶ月くらい当てると発電量がだいたい10%くらいアップして、その発電量が継続します。

 

 

それから、これはあまり知られていない特徴なんですが、

太陽電池は意外にも"熱に弱い"という性質があります。

なので、日照時間で考えれば8月が発電量が多いはずですが、

年間を通したときの発電量のピークは5月になります。

シリコン系の太陽電池だと、温度が1℃上がるごとに0.4%ほど出力が落ちると言われています。

 

だから、東と西であれば、東の方が発電効率がよいです。

私たちが朝そんなに早く起きてないので実感持ちづらいですけど、

日射時間は午後12時を頂点として東西一緒ですから、東西同じ条件(高い建物などの影響がない)であれば、

太陽電池は比較的気温の上がらないうちに稼働できる東側につけた方がよいです。

でも、みなさん、西の方がよく陽が当たるから西につけてくれって仰るんです(笑)

 

ちなみに、田んぼなんかで杭を売ってパネルを設置しているものがありますが、

土の上は温度が上がりづらいので、非常に効率よく発電してくれます。

 

 

 

 

発電量の見込みと、その算出方法

 

今回とりつけるパネルの年間発電量は3,776kWhくらいを見込んでいます。

出力は約4kW(170Wのパネルを24枚=4080W)で、

地域差はあるものの、太陽電池は年間約1,000時間稼働しますので、

単純計算では4,000kWh(約4kW×1,000時間分)になりますが、見込みとしては3,776Kwhとしています。

※出力(W)× 稼働時間(h)= 発電量(Wh)

 

見込みが少し低くなるのは、かぜのねのパネルが東側の屋根についているためです。

機器の出力は、真南に向けた場合を想定してあるので、

真南を100%とすると、東西の屋根では85%くらいの出力に落ちます。

但し、先程説明したように、今回とりつけるパネルは稼働後10%程度出力があがりますので、

だいたいですが、 4,080kWh × 85% × 110%で3,776kWhとしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

売電の仕組み(余剰電力の場合)

 

発電した電気を使ったり売ったりする仕組みについてですが、

発電した電気はまず「パワーコンディショナー」という機械を通します。

これは、太陽電池で発電した電気は直流なので、それを交流に切り替えて家庭内で使えるようにするためです。

 

それで、使えるようになった電気はまずはその電気を自分のところで使って、

使い切らなかった電気は「分電盤」を通して外の電線に送り出すという構造になっています。

 

 

電気も水と同じで、圧量が高い方から低い方に流れる性質があるんですが、

関電から各家庭に流れてくる電気の電圧はだいたい103Vくらいです。

なので、この分電盤で107Vくらいの比較的高い電圧をかけて電電に送り出すことになります。

ちなみに、電圧は電気事業法で定められていて、94V〜107Vとなっています。

 

送り出した電気は電線にぶら下がっているトランスというところまでいって、

そこに繋がっているご近所さんにも発電した電気を使っていただいているということになります。

 

 

 

 

電気を電線に送れなくなる?「電力抑制」という問題

 

で、ちょっとここから複雑な話になりますが「抑制」という問題があります。

最近、発電設備をもち、売電を行うご家庭が増えたことで起こる問題です。

 

どういうことかというと、売電を行うご家庭が増えるということは、

電線に、関電などから流れてくるよりも高い電圧が掛かることが増えるということです。

 

それで、ついには、一部の地域で電線に流れる電圧が高くなってしまう。

先程説明した通り、電気は電圧の高い方から低い方へ流れる性質がありますが、

電線に流れている電圧が高まると家庭内から電線に電気を流しづらくなってしまいます。

もし同じ(107V)まで高まったら、流れなくなってしまう。

こういう状況を「抑制」と言います。

 

こうなると、発電していても売れないという状況になります。

その状況は、発電モニターからも分かりますので、

そういう時は関電に電話して、電圧を測りに来てもらわなくてはいけなくなります。

それで、トランスや、こちらの分電盤の電圧の調整をすることになります。

 

 

わたし自身、この仕事はじめる前は、関電には反原発なんかの抗議にしかいったことないですけど(笑)

最近は、こういう問題でやりとりをしたりします。

そうすると、彼らの配電技術は高さに感心することがあります。

私たちも、これからエネルギーのことを進めていこうと思ったら、

ああいう技術を持たなくてはいけないんですが、正直、全然レベルが違います。

残念ながら(笑)というか、我々にない能力を持っています。

ほんとは市民側も送電会社を持たないといけないと思うんですけど、これは相当レベルの差があると感じます。

 

 

 

 

設置に関わる補助金と費用について

 

今回の設置には、京都市と国から、それぞれ8万円の補助金を受けています。

国は2013度で終わっているんですけども、ギリギリ年度内の提出が通っています。

京都市は今年もありますが、若干金額は下がっています。

 

それから、太陽電池を設置すると、屋根の修理なんかが難しくなることから、

ここ(かぜのね)は、設置前に屋根のペンキを塗り替えてもらっています。

なので、その費用も太陽電池の設置とは別にかかっていることになります。

 

ちなみに、この場所は景観区域といいまして、そもそも京都市は95%くらいは景観区域ですが、

要するに、屋根の色などを変えるときは京都市から了解をもらわないといません。

屋根は、ネズミ色もしくは黒色に変えなければならなくて、

今回は、ネズミ色に色を塗り替えてもらっています。

 

 

 

ひとまず、説明はここまでで、

これからは、質問をしてもらって、それに答える形の方にしようと思います。

何か聞きたいことがある方いらっしゃれば、どうでしょう?

 

 

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